■ 決勝戦、大庭バファローズAに苦杯するも、2年連続で市大会準優勝

2000年度のチームは、いかにも野球少年と言えるような子供もなく、 先の98年、99年のチームから比べると、それ程評価の高いものではなかった。

しかしながら、メンバー1人1人を見ていくと、 素質では良い物を持っており市内のレベルでも決して見劣りするとも思えなく、 練習次第では"ひょっとしたら大きく化けるかも" という期待もあったが、練習試合では好成績を残すものの、 公式戦では良い結果が出せなかった。

この年のメンバーは全員が皆、性格が大人しく、優しく、仲が良く、 チーム内で競い合ったり浮き出す者がでることもなく、 良い意味でチームとして成長していく上においては迫力に欠ける感もあった。
だが、この性格が最後に最高の武器になっていくのである。

春も1回戦、夏も2回戦と早々と負け、良い成績を残せないまま向かえた夏休みの合宿で、 その性格ゆえ、あるいは最後の大会となる秋季大会に結果を出したい一心で 本当に一生懸命に練習に取り組んだ。

このチームは98年99年と先輩たちに連れて行ってもらい、 一緒にもらった金・銀のメダルを持っている。
そして、今度は先輩たちに貰ったメダルでなく自分達の力で必ずメダルを取るとの 結束で臨んだ秋季大会がやってくる。


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初戦(2回戦)滝の沢ブルーロビンス。

5年生チームではあるが、夏は2部で優勝し、秋は1部に登録してきた勢いのある、 決して侮ることの出来ないチームだ。

初回にいつもながらの緊張からリズムをつかむ前にいきなり2点の先行を許すも、 徐々に自分達のペースをつかみ、中盤に逆転に成功すると攻撃にも勢いがつき、 最終回は一挙6点をあげ、終ってみれば9対2と快勝し不安だった初戦を突破する。


8月27日  [2回戦] 稲荷B面
チーム
滝の沢ブルーロビンス
藤沢ファイターズA 6X

(藤) 伊藤、平川 ―江畑 ***  (滝) 仙波―八巻


三塁打 (滝)仙波 
二塁打 (藤)安藤 (滝)八巻




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3回戦 天神少年野球クラブ。

夏の2回戦で逆転負けを喫した苦い思い出の残るチームとまたもや対戦することとなる。

試合当日、子供達が悪いイメージを残してやしないか、思い切ったプレーが出来るかとの心配もしたが、 この日の子供達に心配は無用だったようだ。

試合前から顔つきが変わり、合宿の練習でつかんだ自信からか、 初戦を快勝した勢いからか、それは以前のような緊張と不安からくるものでなく、 絶対に勝つという気迫からくるものだった。

そしてその答えは9対1、4回コールド勝ちというかたちで現れた。

守備につけば全員で声を掛け合いしっかりと守り切り、 攻撃においても切れ目なく積極的に攻撃を続け、まさに全員野球での勝利であった。


9月10日  [3回戦] 稲荷A面
チーム
天神少年野球部
藤沢ファイターズA 1X

(藤) 伊藤、平川 ―江畑 ***  (天) 森田、黒木―佐伯


二塁打 (藤)安藤 (天)坂本





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そして4回戦 辻堂イースタンジュニアーズ戦。

最後の秋の大会でこのチームと当たるのも、3回戦で対戦した天神少年野球クラブ同様に、 表現は正しくないかもしれないが、何か因縁めいたものを感じてしまう。

それは夏前のこと、練習試合でこのチームに大敗を喫しているのだ。

このイースタンジュニアーズはレギュラーの内 8人が5年生と言うチーム構成ながら、 野球に取り組む姿勢や試合に臨む態度、あるいは技術と、どれをとっても模範となるべき、 素晴らしいチームという印象だった。

このチームと対戦して負けた時、少なくとも私は頭をハンマーで叩かれたほどのショックを 受けた事を覚えている。

こんなチームがあるのだと、少年野球はこうあるべきだと。 そして、その敗戦から学び、夏の合宿を行ったのだ。

そのチームと市大会で対戦することになるのだから、因縁を感じざるを得ない。

はたして試合は、力をつけた我がチームと好チーム、イースタンジュニアーズとの大熱戦となった。

決して貧打戦ではなく、積極的に攻撃をしかけるが、お互いの守備が、 ランナーを出しても進塁をさせない、ホームを許さない堅い守りで投手を盛り立て 5回表まで 0対0と緊迫した好ゲームを展開する。

5回裏、イースタンジュニアーズの珍しいエラーから1点を挙げ、 均衡を破ると 6回にもわずかなチャンスから手堅く1点をもぎとり、 最後まで守備でミスをすることなく守り切って2対0と勝利することができた。

お手本としたチームを相手に、気持ちの上で、全員の結束の上でわずかに上回ったのか 勝利という結果をだすことができた。本当に良い試合で嬉しい勝利であった。

天神少年・イースタンジュニアーズと続けてリベンジを果たしての準決勝進出だった。

5年生中心だったこのイースタンジュニアーズは、翌年、藤沢市春季大会・夏季大会に優勝、 秋季大会は準優勝と市大会完全制覇は逃したが、 藤沢市代表として出場した関東学童県予選会でも優勝し、 神奈川県代表として関東大会へ進み、関東を制するのである。


10月22日  [4回戦] 稲荷A面
チーム
辻堂イースタンジュニアーズ
藤沢ファイターズA

(藤) 伊藤 ―江畑 ***  (イ) 児島(悠)―児島(涼)


二塁打 (藤)安藤 (イ)石井





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準決勝 湘南台クローバーズ戦。

準決勝ではあるが、夏まではオドオドと試合をし、敗れ去ってきたチームが、 秋には1戦ごとに力をつけ、とうとうここまで来たという感がある。

対する湘南台クローバーズはこの年の春、夏と連続で準優勝という強豪チームで、 秋こそは遠藤少年野球クラブを倒し優勝をと燃えているチームだ。

しかしこの日も、子供たちは前の試合までと同じく闘志を前面に出して挑んでいった。

強豪チーム相手に1回、ヒットは打たれていないものの、守りでミスが重なり2点を与えるマズイ立上がり。

その後立ち直り最後までノーヒットで得点を許さず、中盤小さなチャンスから同点とし 流れを呼び込むと、時間的に最終回となる6回にエラーで出したランナーをヒットを連ねて 何とか1点をもぎとりその裏をきっちりと押さえゲームセット! このチームが何と決勝戦進出を果たした!


11月3日  [準決勝] 大庭小
チーム
藤沢ファイターズA
湘南台クローバーズA

(藤) 葛西、伊藤 ―江畑 ***  (湘) 新城―森田







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そして晴れ渡る秋の青空の下行われた2000年度藤沢市秋季大会決勝戦。

参加35チームの内、最後の2チームしかここにいない。

それは遠藤少年野球クラブでも湘南台クローバーズでも無く、 我が藤沢ファイターズと遠藤少年野球クラブを準決勝で倒した大庭バッファローズだ。

気持ちが弱い、公式戦で勝てないと言われ続けたチームも、 願ってはいたものの本当に決勝戦までくることができた。

試合は1・2回と強打のバッファローズを1点に押さえたものの、 3回につかまり連打とエラーも重なり一挙6点を奪われ劣勢となってしまう。

こちらも5回に 主将 平川のスリーランホームランで必死に食い下がるが、 打線に火が点いたバッファローズにその後も追加点を奪われ、そのまま試合は逃げ切られてしまった。



11月5日  [決勝戦] 稲荷A面
チーム
大庭バファローズA 10
藤沢ファイターズA

(庭) 今井―柳橋 *** (藤)葛西、伊藤、平川 ―江畑


本塁打 (庭)今井 (藤)平川 
二塁打 (庭)白岩 (庭)今井


選手背番学年
徳永 潤6年
江畑 航6年
平川暁翔106年
伊藤悠太6年
増田康平6年
安藤 望6年
葛西直樹5年
小田 岳6年
池田裕太6年

結果は残念ながら負けてしまったが、誰もが故障や不調を抱えながらここまできた。

決勝のこの日まで毎試合これまで見せたことの無い好プレーを続けてきたのに、 最後の決勝で意識し過ぎかミスの連発で負けてしまったのもこの子達らしいと思う。

敗戦がきまって涙を初めて流した子供たちも、表彰式で念願の大きな銀メダルを掛けてもらい笑顔が戻った。

2000年のチームは仲の良さで結束し、それぞれが役目を持ち、全員で一丸となる全員野球がカラーのチームであった。


00秋準優勝への軌跡


この手記は、試合を観た作者の個人的観点から感じた事を書き述べたものであり、選手個々の考え、あるいはチームの考えとは違うものであるかもしれませんが、ご容赦ください。(江畑)
なお、このコーナーの少年野球チームのユニフォームの人形は高校野球を応援するホームページ『KNOCKOUTMARCH!』作者の高木さんのご好意により使用させていただいております。


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